2006年7月16日(Sun) 美容外科医とモティベーション

昨今、モティベーション motivation という言葉がよく使われています。やたら英単語が頻用されるサッカーの世界から広がったようです。仕事、任務を遂行するに必要な動機付け、やり甲斐という意味が当てはまるのでしょう。

有名な某日本人サッカー選手の現役引退が世間でとても話題になっていますが、これも、現役プレイヤー続行のためのモティベーションが下がり引退となった、ということになるのでしょうね。今までプロフェッショナルとしてやってきた仕事を、スパッと辞めることを格好いいと思うか、とことん現役にこだわり石にかじり付いても辞めようとせず頑張り究め続けようとすることを格好いいと思うか、人それぞれでしょうけれど、私は、後者がとてもすばらしく美しいものであり、称賛したいと考えるのです。

モティベーションの持ち方において、スポーツ選手とその他の職業(サラリーマンや自営業者等、はたまた専業主婦業に至るまで)の方々とは、全く異質で比較しようがない、とおっしゃる方もいると思いますが、どんな職業の方もお金を得ていたり、プライドを持って勤めている以上プロであることには変わりなく、各人の、それぞれの現役としての業務をやり続けるという姿には感動を覚えるのです。

時々、どうして医者になったの?、なぜ外科医になったの?、なぜ美容外科を専門にしたの?、毎日手術ばかりしていて疲れないの?、飽きないの?、そろそろ医者としてもっとストレスのかからない楽な仕事を選びたいとは思わないの? 等々を質問されることがあります。医師としてすでに4半世紀、sub-speciality としての美容外科医になってからもかなり長く現役生活を送っていますが、私の今の業務遂行に対するモティベーションはますます上がる一方です。

なぜなら、クリエイティブな感性を要する、そして100%手作り技巧であり、まさしくアートである美容外科手術は、確かに神経を使い・腕を使い・体力を使い大変ですが、それをお受けになった患者さんの喜ばれる姿を、ストレートに、間近に見ることが出来るからです。また、外見を整え健康的に表現することで、必ずそれが内面を美しくさせる力となり、体内環境(内蔵)まで健康的にさせる作用があり、その後の人生を豊かな幸せなものにすることを経験的に実感しており、その事は正に執刀医冥利に尽きるからです。巷では誤解されていることもあるようですが、美容外科医としての勤めは、本当に、誇りの持てるすばらしい天職だと思っております。

私は大の阪神タイガースファンであります。一番尊敬している選手は、江夏投手です。彼を越えるプレイヤーはもう出てこないでしょう。彼はあくまで現役投手にこだわり、他チームを転々とし、最後の力を振り絞り大リーグに挑み、しかし叶いませんでしたが、その精神はすばらしいものでした。巨人はライバルでしたが、そのチームにも好きなプレイヤーがいます。ジャイアンツV9時代の名捕手、森昌彦さんです。彼の座右の銘であります「生涯一捕手」の言葉に感銘を覚えています。すばらしい、とても深い意味が込められていると思えるからです。

私も「生涯一美容外科医」を掲げ、驕ることなく謙虚に、しかしプライドをもち、自己を磨き、身体を鍛え続け、益々精進し、生涯現役にこだわり、アート系「美」の医療の世界で長く貢献していきたいと思っております。